感謝しすぎて、

サッカー人生長しとはいえど、試合に勝って泣いたことは2度しかないと記憶している。

1度は、大学サッカー部の4年目で、最終節にリーグ昇格を決めた瞬間だ。

そのときの感情は、嬉し泣きというよりも安堵の涙に近かったと思っている。

自分はプレッシャーから解放され、安心したときに泣くらしい。

 

もう1度は、同じく大学サッカー部1年のときである。

その試合が終わった後、チームでただ一人だけ泣いた。

 

 

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2013年の秋季リーグ戦が開幕し、ぼくはリーグ中断期間中のレギュラー争いに敗れ、ベンチに座っていた。

梶谷がケガしてからは、ちょいちょい試合に出させてもらっているが、ぱっとした結果は残せていない。

今日こそは、と意気込んで途中出場した学習院大学戦で、

ほぼファーストタッチとなる不用意なボールロストから、チームのキャプテンであるCBの退場という最悪な結果を招いてしまった。

チームの空気は最悪。「おまえのせいやぞ!」と、チームメイトに叱責されたのはトラウマのように耳にこびりついている。

その試合はエースの劇的な一発で辛くも引き分けたが、僕にとっては苦い思い出である。

そして当然、翌週の試合はキャプテン不在で戦うこととなった。

その翌週の試合で、ぼくは大学に入ってから初めて、なぜかスタメンとして抜擢されることに決まった。

そこから試合までのことや、試合中のことはほとんど覚えていない。

でも、試合当日のアップでキャプテンに死ぬほどいじられたことと、

そのキャプテンが試合中に声を枯らすほど大きな声で応援席で応援している姿はめちゃめちゃ覚えている。

試合では全く活躍できなかったが、その試合に無事勝利を収めた後、ぼくはチームでただ一人だけ泣いた。

 

 

 

大倉さん、結婚おめでとうございます。